9月21日厚生労働大臣政務官に就任いたしました。この制度は今年の1月6日から省庁再編と共にスタートしたもので、長いこと続いていた行政指導型の立法を政治指導型にしようとして出来た制度である。統合された省庁には大臣が1人と各省毎に副大臣・大臣政務官がそれぞれ配置される。その仕事の役割は、大臣は所轄省庁を統括するが、1人では従来の省庁の縦割り行政の無駄な部分を政治的に削除するのは困難なので、各省毎の副大臣が互いに連絡し、合理化するために互いに連絡調整をとっている。大臣政務官は大臣が忙しいときに各種セレモニーに代理出席し、大臣の書簡を代読するのが仕事である。また、党本部の所管部会に大臣の代わりに出席し、部会で出た問題点を大臣に報告する。また常任委員会の審議が混乱した時は委員会の運営をスムーズにするのも仕事の1つである。いわゆる新制度の便利屋さんである。< 今回の米国同時テロや狂牛病事件など広範囲の省庁にわたる時の大臣・副大臣の仕事は忙しい。大臣は緊急対策本部で指揮をとり拘束されるので、大臣政務官はその命を受けて走り回る。身分は議員であるが、行政庁に入って仕事をするので、形としては公務員となる。従って公務員に準ずる為兼職はできない。(医療法人や福祉法人の役職は外され、他からの所得は禁止される。)  さて「経済財政諮問会議」の答申を受け、今国会で小泉総理の「聖域なき構造改革」の内容が審議される時期であるが、突発的なテロ事件や狂牛病などの対応で忙しく、本筋の「構造改革」の内容審議に着手できない状況にある。しかし、自民党本部の「社会部会」では厚生労働省の色々な改革案が討論されているが、議論百出で、かなり混乱している。
 その一部の「医療制度改革案」が新聞等で先行して報道されているが、構造そのものに踏み込んだ内容はまだ決まってない。 

老人医療費の自然増は8%程度と推定されているが、報道では半分の4%に抑えられている。「医療保険の危機感」から掛け率がだんだんと上がり、給付は低下する。これは大変な問題で、国民にとっては大きな不安要素になっている。しかも景気低迷の上に、今回のテロ事件や狂牛病で更に雇用情勢も厳しくなると、1点10円の診療点数がGDPの景気係数が掛けられ9円とか9円50銭になる可能性もあり、医療機関もかなりの”痛み”を伴うことも予測されるが、消費税の問題もあり、そう簡単に1点単価を変動させることは出来ないと思う。しかし、このままでは従来の医療保険制度は崩壊してしまうので、単なる数字合わせ的な発想で法案をつくるのだけは阻止しなければならない。そのためにも2004年度の改定時までには、社会保障制度をシッカリ決める必要がある。 
医療や介護は社会保障の一環であり、医療費がどんどん伸びているからこれを抑えて「国民負担を増やす」とか国民年金の空洞化が進んでいるから「掛け率を上げて給付率を下げる」という小手先の解決法ではなく、もっと具体的に社会保障制度全体を見直す必要があると思う。具体的には、介護保険方式で「全ての国民が社会保障費を支払う方法」を提示したい(3号被保険者も含む)。老後の収入は年金しかないので、一部負担金をが受け取り額以上になったら誰でも不安になるのは当然である。少子高齢社会は確実に進んでおり、現在では4人の労働者が一人の老人を支えているが、20年後には2人で1人の割合になると予測されている。これでは20代〜30代の若年労働者は自分の老後は何人の人に支えて貰えるのか?また不況を背景にリストラが行われている状況下では、年金財政は破綻し、雇用に対する不安もますます増加している。従って今までの発想を基本的に大きく変えなければならない。そこで年金の世代間賦課方式を見直し、年金受給者からも払って貰うようにすれば、支える人口は受給人口よりも多くなる。その分、基礎年金を大幅に増やし、その中から社会保障費を支払い、残りの年金で医療・介護の一部負担金を賄えるような社会保障制度を確立すべきである。その後に医療構造改革をした方が分かり易い。しかし、高齢者の無料化は健康人と比べると不公平である。だから、1〜2割の負担を徴収し、健康者には年1回の健康診断を無料化するなどの方法を行えば公平感があるし、早期発見で医療費も節約できる。これからは健康で生涯を終るのが一番の幸せだと思う。医療機関に健康業務を委託すれば三者一両得となる。”痛み”を伴うのではなく、発想を変えて、いろいろな方法を考えることが大切なのではないだろうか…。雇用保険の失業給付にも言及したいが省略する。


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