【平成14年8月5日】

 住民基本台帳ネットワーク
がいよいよ今日から実施された。開始当初は、システムが良く分からない自治体首長や市町村会議員も多いようだが、171自治事務を受け持つ自治体にとっては大変重要な意味を持っている。

 この「住基ネット」は突然出てきたような話しに取れるだろうが、いわく付きの法案で、第145回国会(3年前の小渕総理)の最終日に民主党の委員長が参議院本会議で報告せずに直接本会議で採決して決着した法案である。(国会便り4号参照)多くの反対を押し切ってまで実施した理由は、2007年には約3200強ある自治体が、約1000程度に合併され、広域自治体自らが対応する地方分権の時代が到来するからである。また地方自治体は地方交付税がなくなり、自らの力で自治事務を遂行しなければならず、その意味で来年度は医療費1兆円減や国税の1兆円減税なども盛り込まれている。このような中で「住基ネット」が発足したのである。本来なら今国会(第154国会)で「個人情報保護法案」を決めてから実施する予定であったが、野党の反対で成立しない内にスタートせざるを得なかった。
 このような状況下で一番大切なことは、 @「国保事業」 A「介護保険事業」 B「育児・託児所事業」 C「年金」 などの社会保障制度を自治体が直接やらなければならないことである。
@  国保財政が破綻しかかっている状況で、市町村に対して自主的に合併させようとしても中々進まず、ラスパイレス指数がさまざまな自治体情勢の有機的合併を推進しても、いざ地方交付税が無くなる時期まではそう上手くは行かないだろう。社会保険や政管健保などから「老人保健法」に基づいて、拠出金制度が減少すると、その財源を何で補おうとしているのか?皆目検討が付かない。ある程度広域町村が合併して無駄を無くす準備をしなければならず、各自治体が税収を確保するためにも、住基台帳ネットは必要となってくる。
A  介護保険は現状で飽和状態になっているが、スタートして2年で増税する訳にもいかないため、”広域介護保険(仮称)”という見方で介護保険を拡充し、保険料も上げなければならない状況になってきている。これが出来なければ、全て各自治体で介護サービスを自前で提供しなければならないことになる。
B  国公立病院が統廃合されている状況下で、自治体が運営する保育・託児所業務は自治体で対応する。幼児虐待が騒がれている状態で、同居しているのか?他の場所に預けられているのか?国としては掌握できる範囲ではない。
C  年金問題が一番大切な課題である。都会ならともかく農村部では年金の収納額が分からないのが実情である。世帯割り・応能割・所得割など国民年金の収支が個人では不可能である。昔から9・6・4」(クロヨン等といわれ、中々農業者世帯の個人の国民所得が不明な点が多かった。また、中小零細企業では所得が判明せず、年金の分け方に非常に苦労していた。住基台帳が出来ると完全に扶養控除になっているのか?収入があるのか?がハッキリ分かってくる。今迄はこのような人は往々損をする場合が多く、決してプラスには計算されていなかった。その意味では個人が正確に年金を受け取れるようになるために、「正しい申告をして、正規の年金を受け取れる」ためにも是非必要な制度である。
D  その他、是非論は沢山あるが、誤魔化している人には都合の悪い制度ではあるが、正しく申告している人には決して悪い制度ではない。

 今、次年度の予算案の審議に入っている。ほとんどの”物”に対してデフレ状態にあり物価が下がっている中で、自然増を含んでも医療費の伸び率はゼロという噂も出ている。これから10月に、医療費の見直しも予定されているが、少子高齢社会となる今世紀、医療、福祉は重要政策のひとつである。しかし、伸び率が上昇されないという事には問題があり、医療界には益々厳しい状況となるのではないだろうか?

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