【平成14年7月13日】

  今国会を振り返ってみると、野党の議員さん達は委員会の法案審議以外の問題(個人的な政治姿勢)を取り上げて議員を辞職に追い込み、又討議についても「貴方とは討論できない」と言い、委員会のあり方全体が「間違っている」として法案審議をストップさせてしまう。その様な事態が果たして国民のためになっているのだろうか?非常に問題だと思う。予算委員会はテレビ中継が入るので、野党は予算とは全く関係の無い質問を浴びせ、国民にアピールする戦法をとる。そのために辞職を余儀なくされた議員はたくさん居る。政治家ばかりでなく、どんな人でも叩けば埃のひとつ位は出るだろう。委員会は提出されている法案を討論する場であり、個人攻撃の場所ではない。ましてや、反対意見を持っていると「個人攻撃」して委員会をストップさせ、それ以降の委員会をボイコットして反対態度をアピールするのも、支持母体に対する単なるポーズなのかも知れない。委員会を通過すると本会議が開かれ、多数決で通過するから、その様な態度の正当性をだしているに過ぎない。

 今、参議院厚生労働委員会は、「健康保険法の一部改正案」を審議している。この法案は、”今後の社会保障問題に関する大切な法案”で、来年度は「介護保険の見直し」や「年金制度の見直し」そして「障害者プランの一部有料化」と「エンゼルプラン」などに先駆けた法案である。この「健保法」は既に、中医協(専門者会議)の審議で今年の4月からスタートしてーおり、委員会で注文をつけないと、文句無く10月から定率負担の償還払い制=掛かった医療費の各負担率に相当する料金を一時立て替え、上額外来:12,000円、入院:40,200円が払い戻される)が実施される。こう言う時に、女子医大の医療ミス問題や、帝京大学の裏口入学の件を問題化し、その集中審議を行おうとしている。このことは、本題から外れ、返って国民の将来に暗い影を残すと思う。今回の審議の内容は、来年の介護保険や年金制度を変える可能性がある。審議しなければ、モット大きな国民負担が強制されると思うが、野党はそのことに気が付かないのか?或いは無関心なのか!全く触れようとしない。完全に問題の矛先を取り違えている。

 7月11日に、宮路副大臣が帝京大学の入試に関わったと言うことで委員会が停止した。国民の医療費「償還払い制度」は審議されず、国民生活はどうなるのか?とか、医療機関はどうなるのかなどの検討は全くされない。宮路副大臣は更迭されるであろうが、今度は沖永帝京大学総長の事情聴取をやらなければ委員会を開かないと息巻いている。肝心な法案内容は置き去りである。事の発端は2階席の記者席から「赤旗」の記者が望遠カメラで議員の手元のポールペン書きのメモを写し、拡大してこれが動かぬ証拠になった。このような「覗き見的」写真が証拠になるのだとしたら、「個人情報保護法案」も解決しなければ、うかつに誤解を招くようなものは持って歩けない。何処で写真を撮られているか分からないからである。

 議会制民主主義の欠点と言ってしまえばそれまでだが、来年度には種々重要法案があるのに、大切な「健保法」の審議がされないことに物凄い空しさを感じる。宮路副大臣も少し口が軽過ぎたので仕方が無いと思うが、それで委員会がストップされたのでは、与党議員は希望質問時間数を野党議員に譲っているのに、法案審議しないで関係外の時間を取り、審議時間が足りない!では国民に対する責任は何処に行ってしまったのであろうか?国民不在の法案作りであり、「目先のサラリーマン健保3割負担に反対」ではなく、総合的に国民の将来性を見越した有利な法案を作成したいものである。

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