−なんとも情けない 国会議員−

【平成14年6月10日】

  私が国会議員になってから、毎回国会は波乱含みである。『国会とはこんなものか・・・』と思い、意気揚々と立候補した当初の思惑とのギャップに少々失望している。
  4年前、私が参議院議員に立候補した時は、自民党の単独過半数に僅かに足らないので、それを逆転するために各選挙区の最大定数立候補したのである。ところが、結果は「自・社・さ」の連立の枠組みで大敗を期し、改選前の与党は定数割れとなり、法案は衆議院を通過しても参議院で廃案となる事態が続いた。そこで、現在の「自・保・公」の連立となり、国会は正常化したのである。
  しかし、国民の政治不信は止まらず、小泉総理誕生の際、90%弱あった支持率も今は40%を割る状況である。政治不信に至ったのは『行政改革』を断行した事が大きな要因となっているように思う。国会運営を「行政指導」から「政治指導」に方向転換した。確かに1府12省庁に省編成され、大臣が各省庁1名になったが、副大臣・政務官は旧省庁の数だけ配属されている。この省庁の縦割り行政が従来のままなので、議員がその無駄を排除して省庁に政治の息吹を入れようと試みた。しかし、行政は素人政治家の話には耳を貸さない。行政マンは都合のよい方を選ぶのである。委員会の答弁などにおいても自分の意見を言おうとすると大臣と意見が違った場合内閣不一致と言うことで、野党からの攻撃に合い審議がストップしてしまう。従って、例えその答弁の内容が自分の意見とは異なるものであっても行政が作った答弁をするしかないのである。この点、なんとも情けないものである。
  更に、4年前の改選後、与党の連立の枠組みが変わった事により、与野党の思惑が大変微妙なのである。以前連立であった野党は自民党と一緒に法案作りに参加したから、自民党と別れて反対の立場となっても自民党の手の内は良く知っている。要するに弱点を突いてくるのである。我々与党とすれば溜まったものではない。その状況を行政側は『お手並み拝見的』に見ているから上手くまとまらず、不利になった方の秘密事項を露呈する。
  守秘義務も社会的ルールも秩序も排除され、法案の審議を前提とする討議とは程遠い殺伐としたものが露になり、論点はすり替えられてしまう。国民主体といった政治の様相は全く感じられない。虚しくなってしまう。
  国会議員の先生方は、皆さん一様に『選挙区の皆さんのお役にたちたい』と思っている。私も勿論茨城県民のためになんとかお役にたちたいと思っている。しかし、最近の一連の騒動を察してもご承知のとおり行政マンに陳情のお願いをしても返事は良いが、結果がでない。少しでも強く言うと「先生!そんな事を頼んでよいのですか?」と反対に脅されてしまう。役人に対しては恫喝しかないのかと思ったりするが、そうすると鈴木宗男議員のように摘発されてしまう。結局、地元の陳情に対し、各議員が協力し地元のために各省庁に陳情しても期待に沿う結果は出せないのが現状である。
  小泉総理は以前から『奇人・変人』と言われてきたが、やはり手法も変わっている。自分の味方である自民党の部会も通さず全く根回しもせず、一方的に法案を出してくる。勿論連立の公明党・保守党からは苦情が出る。通常は党の部会に出していろいろ意見を纏めて党議拘束が架かるのであるが、部会に出すと自分の思うように進まないので直接内閣法として国会に上程してしまう。当然議員は異論はあるが、自民党の総裁であるから党の議員は賛成ボタンを押す。これでは不満もいつか爆発する。そうなると野党の思いどおり・・・なんとも情けない・・・国民のための政治ができないものか・・・迷走する国会打破!

 もどる






Copyright (C) 2001 Kuno Office All Rights Reserved.