国民生活を混乱させるマスコミ情報

目に余るマスコミ報道

 4月24日:参院本会議にて「人権擁護法案」の趣旨説明が、翌25日には衆院本会議にて「個人情報保護法案」の趣旨説明がそれぞれ行われた。共生社会(ノーマルライゼイション)で種々の人が生活する中で、ライ患者や昔から人種差別されていた人達を擁護し、あらゆる施設(病院も含む)が情報公開を義務付けられる様になると、個人情報は安易に扱われてはならない。これらの法案については、昨年から継続審議になっていた。最近はマスコミ報道で政治家が辞職に迄追い遣られ、政治を混乱させる要因となっているが、このような場合も適用されるものである。最近の報道は目に余るものがある。報道の過激化により政治の本質を見失いかけている国民、国民の信頼を失いかけている与野党政治家は、意欲を無くし、意気消沈して何となく議会も重々しい。戦後半世紀以上も経った憲法やバブル前後に出来た法律にいつまでも縛られていたのでは、日本は現代世界から遅れてしまう。誰もが今の景気低迷を何とか打開し、新生日本の下で新しい経済成長を願っているはずだ。その意味で「構造改革」は皆で成功されなければならない。世界はドンドン、グローバル化して、安い賃金で労働力が入ってきて、物価も安くなっている。このままでは日本は消滅してしまう。今、政治家はそれらに真に取り組んでいるのに、マスコミは政治の裏側ばかりを取材し、個人的情報を問題化し、審議を空転させる事態を生んでいる。このような状況を続けていては、構造改革どころか日本は世界から孤立し、国民生活も成り立たなくなってしまうであろう。政治家個人の善悪はワイドショーで扱うのではなく、与野党議員を含め「政倫審」でキチンと調査して判定すればよい問題なのである。


日本人は熱し易く冷め易い

 国民の圧倒的な人気で選ばれた小泉総理の公約は「聖域なき構造改革」であった。今、その実施段階にきている。しかし、小泉改革は出来ないとマスコミには煽っている。「痛みを伴う」改革であるがため、国民が少しでも有利になる様に「抵抗勢力」は改善策を求めている。基本的には小泉改革に賛同するのは自民党なのである。アメリカの同時多発テロに端を発して「有事法制」は審議されようとしていたが、狂牛病(BSE)の問題が発生し、日本中はアッと言う間に、その話題を国を防衛するための重要課題からすり変えてしまった。また機密費を含む外務省の不正人事問題で、田中真紀子前大臣と鈴木宗男代議士の対決で色々な問題が生じたが、皮肉なことにそれを追及した辻本議員が週刊誌でスッパ抜かれ、辞職の事態に追い込まれた。政治はマスコミに影響され易く、国民は政治不信に陥ってしまった。その他色々と内部告発で政治家を破綻に追い遣っているが、限が無いので省略する。しかし、1年前は国民の80%以上が小泉総理の改革に期待していたのに、改革を進めている途中の段階でマスコミに影響されてすべてを"No"と見てしまう国民に、私は失望を感じる。改革は確実に進行している。成果についてマスコミが報道しないだけである。


聖域なき構造改革は何処に

 私は医療・社会保障制度が専門なので、この方面のことを述べて見たい。小泉総理の改革路線の目玉である「健康保健法の一部改正案」は着々と進んでいる。この法律に盛り込まれた本人3割負担の問題は”抵抗勢力”の反対を押し切って、平成15年4月から実施と決まっている。この法案はまだ審議されてないが、中央社会保険医療協議会(中医協)[保険者と被保険者代表(三師会も入っている)などで構成され、保険点数を決めている]の合意を経て、4月1日から診療報酬体系は変わってしまった。この段階では政治家は関与していないが、「大学病院の混合診療(保険料と自由診療の組み合わせ)制度」や国立病院統廃合の具体的プランや141国立病院の独立法人化」は既に決まっている。4月以降から一般病院に入院して、180日を過ぎれば社会的入院とみなし包括性になり、自己負担料金を全額立て替え、後で高額医療費{高額所得者(73,200円+1%)、一般(40,200円)}を除く金額が償還される。これは患者には中々理解出来ない事かもしれないが大変な負担になると思う。
 個人的な意見を言わせて頂くと、医療と介護・福祉を別々に審議するという事に問題がある。一般病院の平均在院日数は短縮されたが慢性病院(医療型病床群)の区分がまだ決まっていない。介護保健施設は満杯で入れないのが現状である。また若年層の要介護者は在宅へしか行く道はない。突然、在宅に要介護者が帰ってきたら、家庭はどの様になるのか?大きな不安材料である。その対応策が全く議論されていない。国民やマスコミは10月頃になると分かってくると思う。


今後の問題

 そこで安心老後や景気対策が問題となるが、この問題を書くと長くなるので、私が常々提唱してきている”福祉の郷づくり”を改めて提言したい。
 GW中の各行楽地への混み具合を見ても周知のごとく、物質的な貧困はないかも知れないが、会社倒産やリストラ等で雇用問題が深刻化し、糖尿病のホームレスも多くなり、自殺者も増えている。社会保障費の収入は(少子化+αで)減少し、先行き不安定な要素が多過ぎる。だから、今こそ年金を含む社会保障問題全体的について包括して議論する時なのである。このことについてもう少し多くの政治家・各省庁は気付いてほしい。情報提供者たるマスコミが話題にしないのも問題なのではなかろうか。

 もどる


Copyright (C) 2001 Kuno Office All Rights Reserved.